サムライ8八丸伝第42話「次の流れ星」(今週のジャンプ感想)
「じゃあ!オレってこれ・・本当に――――」
「不動明王になったって事!?」
って、え・・・ 八丸、ご成仏??
いや、ついに「次の流星」・・・無限レベルへの到達ですね (ついにというべきか、もう??というべきか)
八丸「精神体」の姿は、まさに不動明王(というか仏像)。 八丸は散体直前に「悟った」ので、精神体として残った・・という事らしい。 まさに悟りの境地に達したという事なんですな。
さて一体「何がどうなったのか」、不動明王のお言葉をまとめてみますと・・
《完成された自性輪身は肉体を捨て精神体だけとなる》
《その者が持つ情報の塊だ》
《散体とは死ではない 本来自性輪身として完成し 情報の塊・・つまり不動明王となる事だ》
《精神体はH粒子から構成され記憶・想い・予感・「義」を宿し宇宙と繋がりそのネットワークの一部となる》
《だが散体した大抵の者は己が死んだと思い込み意識は消える 肉体から離れ 上層次元に移行している事に気付く者は少ない》
《記憶・想い・予感・「義」も消える事なくそこにあり続けるのに‥》
そもそも侍は(人間としては)一度死んで、既に肉体は失って・・その記憶や想いがサイボーグの中に入って、さらに「散体」という二度目の死に際して それでも記憶や想いが残ることを悟れば「不動明王状態」になる(という事であってる?)
不動明王によれば「この次元に来た者はそう多くない」そうだから、つまり居ないわけじゃあないんですね。
ということは、八丸たちが暮らしている世界の中には 散体を経験済みの「すでに不動明王状態の侍」も混じってる・・って事なのかも(達磨や花一は違うよねぇ)。
八丸は、これにて「自性輪身の完成」らしいですが、これってNARUTOでいえばナルトが六道仙人の力を得たラストの究極状態みたいなもん・・と言えましょうか。 となると、この物語ももはや「完成」間近のような気もします(今回はおそらく第5巻のラスト話だからってのもあるとは思いますが)。 にしても、今回は崇高な哲学か、はたまた宗教かと思うような超展開・・・「死とは何か」と、これまた如何にも「岸本先生らしい」というべきか・・
・八丸世界の「死」について
NARUTOも後半は「死」が次から次へと出てきて、《大切な人の死にどうやって意味を見出してくか、どうやってその悲しみを憎しみに変えずに昇華していくか》というテーマが大きな柱になっておりました。 そして、その答えが《永久の美》・・・肉体は朽ちても想いは人々の心に残り、永久に受け継がれていくというものだったのです。
どうやら《死》というものが、岸本漫画の大きなテーマでもあるようでして、今回提示された《想いは消えない、誰かの心の中に在り続ける》という答えもNARUTOとほぼ同じ。 そのほか、サムライ8の《完璧である必要はない、互いに補い合えばよい》という考え方や、今回八丸のオデコに現れた「白と黒の勾玉(八丸と一~七角)の合体=陰陽の合体=太極図」的な発想にしても、NARUTOとほぼ同じ。
ただし、今回の違いは《大切な人の死》ではなく《己の死》という点でしょうか。 しかも「主人公が」己の死に意味を見出すという点で新しい。 そして「死」とはすべての終わりではなく「全てと繋がるということ」と認識するという点においても、少し新しい。
そう考えると、作者が伝えたいのは「死」というよりも「すべては1つであり、すべてにつながっている」ということ・・こっちなのかなと思います。
そして NARUTOでも出てきた「誰もが人とのつながりの中で生きている」というメッセージは、サムライ8ではもう1つすすんで「誰もが無限とつながっている」と・・つながりの規模が宇宙規模に及んでる。
さらに、NARUTOでは「忍び耐える」的な、ややストイックな面もあった「死にどう意味を見出すか」という話も、SFならではの暗くなくて夢のある話になっているような。 それこそ大久保先生の絵にふさわしい「優しく柔らかい世界観」とでも言いましょうか・・・
たとえば、八丸の「内なる宇宙(心の風景)」。
その宇宙の中には「父ちゃん星」があったり、「アン星」があったり、「達磨星」があったり。 生きてる人も亡くなった人も、同じようにそこには星(記憶、想い、情報の塊)がある。 亡くなった父ちゃんも、ちゃんと「星」として在るんですよね。その光景は、大久保先生の優しい絵にふさわしい「優しく温かい」ものでした。
そしてその「父ちゃん星」の中にも、さらに内なる宇宙があって、そこには「父ちゃんのつながりの星々」があって、その星々の中にもさらに各々の宇宙があって・・と考えてくと、もうキリがないほど「無限」につながっていく。 難解な「∞」という概念も、こう考えると なんとなく分かるような気がする・・
「親子」「友達」「師弟」という直接の繋がり、そしてそれらを超えた宇宙規模での「無限」の広いつながり・・これはサムライ8ならではのテーマなのかもしれません。
《アンの兄さんは死んだそうだけど・・志は生きてたんだって》
《七志となって現れ 兄さんと同じ「義」を持つオレを助けた》
《アンを助けるために・・》
この前、アンに「兄さんに似ている」と言われた時、八丸は「オレはアンの兄さんじゃない」と言ってましたよね。 だけどナナシが来て「七志」の名前を聞いた時・・八丸はただの偶然ではない「アン兄さん」の想いと存在を感じたんですね。 七志は、アンの兄さんのような名無しだった子たちの「あこがれの名前」をもらった事で、彼らの想いや願いも託されてるような気もする。
・そして・・八丸の新たな「覚醒」
(八丸を取り込もうとしていた一~七角は逆に八丸に取り込まれ、一角~七角もすべて八丸となる。白と黒の合体・・陰陽の合体のように。そして「八丸」はこの世に復活、アンを助ける)
八丸が七兄弟を吸収して取り込んだというよりも、本来は一人であったのに「7つの鍵」に無理やり分けられ、搾り取られ残った本体が「八丸」として残っていた・・と言うべきなのかな? 七兄弟の姿になった八丸は 人間モードの達磨の服装にも似て、さらに「侍」っぽい姿に。
(「本質は不動明王」である八丸の力はアップしていそうだけど、それでも「カーラの侍魂(黒刀)」を使ったアタ」の力には及ばないようで・・八丸となった元・二~七角はアタに斬られて散体させられ、元一角の体に入っている八丸は、アタの刃から身を挺してアンを守り・・だけど黙斬りで斬られ散体しかけていく)
この前の散体直前の時も、とっても穏やかな表情だった八丸ですが・・・今回もすご~く幸せそうな顔してますね。 前は「知らない人」でしかなかったアンの兄さんも、今では「自分とつながってる」・・・ そしてより一層、アンの事も身近に感じられるようになったんじゃないだろうか。 アンの兄さんへの想いも、兄さんのアンへの想いも、自分の中で交差して一緒にあるような温かさを感じながら・・
さらに「一人じゃないんだ、全てと繋がってるんだ」という満たされた想いが、八丸に「嬉しい気持ち」と「無限大の勇」を与えてくれたようで・・
・・というか八丸、アンのことが「いつからか好きになったんだ」だったんですね・・・!
おそらく、ホントに「いつからか」的な感じだったんでしょう。八丸本人も気づいていなくて・・それまでは「優しくしてくれて嬉しい」「アンに甘えるのが幸せ」ぐらいに感じてて、それが「どういう感情なのか」分かってなかったんだと思われます。そりゃ無理もない・・女の子にあった事も無かったんだし;
でも、五空が「嫉妬させるような事」をやらかしてくれたおかげで、やっと「少し自覚」して・・ そして今、アンを守るために「自然に体が動いた」時にしっかりと自覚したんじゃないかと思います。
《ありがとう》
「分かった・・やってみるよオレ」
「やってみるじゃない・・やるんだ!」
不動明王に言われた、「行け 私の代わりに皆の夢を叶えるのだ 今のお前は全てと繋がっている お前の可能性も――― 宇宙の無限と等しく広がっている」。 「次の流れ星」として、まずは「アンを守る」という願いや約束を叶える事から・・でしょうか。
(その繋がった力 全部で―――)
「君を守る」
ついにきましたな・・・「限界」突破!!
八丸に何が起きたのか、アタが驚いた表情をしている・・ 「次の流れ星」として無限の力、解放なのかな・・?
でも、八丸って はじめは優柔不断でしたよね。。 家を出る時も決断できなくって、達磨がラインを引いて「そっちに残るかこっちに来るか」と巧みに選択を迫った事もあったし・・・最初の「一歩」を踏み出すのに とにかく勇気がいったんです。 おそらく、最初の頃の「勇」の値は限りなくゼロにかかったのではないかと・・・ だから「笑って強がって見せる」事も、「やってみるよ」と言うだけにしても、すご~く頑張ってたのだと思います。
それでも、まだ「やってみる」には退路があって、「ダメかもしれないけど」的な言い訳余地、逃げ道があったんです。 それで「勇」の値は「8」。 だけど、「やるんだ!」には もう退路がない。
・・・そして「勇」は「∞」に。
八丸が「やるんだ!」までに《勇》を引き上げられたのは、全てと繋がっていることが実感できたからこそ・・ 自分一人の力ではなく、たくさんの人達の想いが繋がってそれが「力」になるのだと信じればこそ・・
生命維持装置にだけ繋がって、父ちゃんしか「つながり」を感じる事が出来なかった少年が、先端恐怖症で怖がりの少年が・・・ここまで来ましたか――――・・!!
・・・だけど。
なにも八丸だけが「特別」じゃあないとも思うんです。 「つながりの無限」ってのは、誰にもある。 普段は気づいていないだけで・・
自分の中にも記憶や想いという宇宙があって、その宇宙にもさらに宇宙があるし・・・そうやって「全ては繋がっている」。八丸は、それに「気付いた」という事なのです。
だから・・読者の可能性も―――宇宙の無限と等しく広がっている。 一歩踏み出す勇気がない人も、迷っている人も、とにかく《やってみるじゃない・・ やるんだ!!》。
・・これこそ「作者が言いたかったこと」なんだろうと思ってます。
(八丸みたいな少年世代はもちろん・・達磨や花一みたいな大人世代も・・きっと!)。
☆長駄文、読んでくださって感謝。
☆今週は「これってラスト近いよね?」と思えるようなものが、いくつも・・
たとえば、 タイトルの「次の流れ星」。 このタイトル、ラスト辺りに来ると思ってたんですがね・・;
それに「こんなオレに力を貸してくれて優しく心配してくれるアンが・・いつからか好きになったんだ」。 八丸が「アンへの想いを自覚する」のも、ラストのほうじゃないかと思ってた・・
☆《オレがアンを好きになったのも アンの中の消えない兄さんの想いや・・父さんの死の間際での約束があったからこそなのかも・・》
アンも八丸も、お互いの想いの中に「似たような想い」を重ねて、それが共鳴したのかもしれません・・
だけど、ん・・・「父さん」?? いつも「父ちゃん」だったのに父さんに昇格・・; おそらく間違いかと思われますが、ここは「父ちゃん」にしてほしいな。 八丸はやっぱり「父ちゃん」じゃないとなぁ。
☆竜騎、八丸の鍵につながってるみたいだけど・・ 前に弁形が牛若丸と義常の鍵をリンクさせていたっけ・・
☆気配を悟られない特技を持つ七志、次はどういう手に出るのかな。
☆完璧はないが、完成はあるのだな・・
☆NARUTOにおける「永久の美」(受け継がれる想い)と「一瞬の美」について、過去に記事にしたことがあるのですが、色々と直したい部分があり・・近いうちに書き直した記事をアップしたいと思ってます(ナルト好きブログ!にて)
サムライ8八丸伝第42話「次の流れ星」(今週のジャンプ感想)
2020/03/16 サムライ8八丸伝感想・考察ブログ!