サムライ8八丸伝 感想・考察ブログ!

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サムライ8八丸伝第4話「親子ゲンカ」感想 その2

サムライ8八丸伝第4話「親子ゲンカ」感想 その2

 

(感想その1の続きです)

 

さて、第4話最後のほうで達磨が見せた「金剛夜叉流黙斬り」。 

 

鮮やかですなぁ・・・《抜刀斬りからの斬れるまでの時間を己で決めて斬る技》と言ってましたが、一体どうなっているのやら・・斬った時には切れ目が見えなくって空振りみたいなんだけど、あとになって「時間差」で効果がズバッと出てくる・・・!

 

もちろんこの技も素晴らしいのですが、達磨の話術・・これがまた巧妙でして。

そしてその話術は「金剛夜叉流黙斬り」そのもの・・と言ってもいい(と思う)。

 《斬った時は目に見えた効果はないが、あとになって効いてくる》・・・これが達磨の話術なのです。

 

父ちゃんと達磨の「腹の探り合い」では、結果的に「八丸と父ちゃんの素性」は何も語られなかったんですよね。 最終的には八丸が帰ってきて「時間切れ」・・・軍配は「何もしゃべらなかった」父ちゃんに上がったように見えたんです。 だけど肝心なのは「その後」でして・・あとになって達磨が「斬った」切り口が、ジワジワと効いてくるんですねぇ。 そのあたりがまさに《金剛夜叉流黙斬り》・・・・

 

では、どんなふうに達磨は《金剛夜叉流黙斬り》を仕掛けたのか・・二人の真剣な「勝負」をちょっと遡ってみてまいりましょう。

 

 《父ちゃんと達磨の「腹の探り合い」合戦。 最初、達磨はストレートに質問してましたよね。だけど父ちゃんはいっさい動じないし、答えようともしない》

 

で・・「こやつただモノじゃない」と思った達磨は、「次の手」を打つ。

 

まずは達磨の方から「自分の正体」を明かし、頭ガチャって開けて(これさりげなく凄いことやってる)「印籠」まで見せている。ま、表向き「自分から先に名乗る」ことで侍としての節義を守り、その代わりおぬしは何者ぞ?と交渉に持っていくわけで、これはまぁよくある交渉パターンとでも言いましょうか。 で…この時、それまで「無反応」だった父ちゃんが、やっと「反応」するんですね。

 

《ではアナタが・・ 達磨⁉》とかなりのびっくりリアクション。

 

そこで達磨はさらに「次なる手」を打つんですね。今度は、ちょっと「特別な情報」である《7つの箱の鍵》とその鍵の1つが八丸である話を打ち明けて、父ちゃんの「反応」を見てます。で、ここでの父ちゃんのリアクションは、 

《・・・・》《という訳か・・》という、意外と「静かなリアクション」だった。

 

父ちゃんに「信用」を与えつつ、一応「侍としての節度」も守りつつ、相手がどういう人物なのかを達磨は「反応」から読み取っていく。 

父ちゃんは、達磨に「なぜ・・あなたほどの侍がそんな恰好でこんな星に?」と聞いていたけれど、達磨が「そんな恰好」でいるのにも何か理由があるように、父ちゃんが八丸を連れて「こんな星」に隠れ住むのも、それだけの理由があるんですよね。「そんな」とか「こんな」に紛れて真実が眠ってる。あの印籠の価値を知り、「達磨か!?」と驚いたのは「侍に関する知識」があるということ・・・そして「7つの鍵と八丸」の話には静かな反応だったのは、これまた「ある程度知っていた」という証拠。

 

「反応」から父ちゃんという人物を読み取りつつ、「これだけの人物がこれだけの理由で八丸を求めている」話をすることで、達磨は父ちゃんの頑なな心に「強烈な揺さぶり」をかけ続けていきます。 だけど・・その揺さぶりに対する父ちゃんの反応は、


「ダメだ!!」
「八丸は外へは出させん!!」

・・という完全否定だった。

 

その手に乗るかァみたいな、ここで父ちゃんは「揺るがない」姿勢を貫きますが、それを聞いた達磨は「お主も何か知っているな?」とまた小揺さぶりをかけるんですね。

父ちゃんと達磨、互いに「・・・・」の応酬で、両者一歩も譲らない感じなのですが・・・ここでもまた父ちゃんは「その手に乗らない」とばかりに語気を強めて(湯呑をドン!と置いて)こう言ってる。

 

「オレは何も話す気はない!」

「八丸をお前に預ける気もない!」

 

・・出させん、話さん、預けんの否定3連発。

 

父ちゃん、かなり感情的になってる。。。 でも、そのあとこうも付け加えてる・・《あの子は守られる側の人間だ》と。 これ、言う必要のない言葉だと思うのですが、言っちゃってるんですよね・・思わず感情的になって。 この言葉からは《お前も八丸を利用する気か!そうはさせん!》というような気持が見えてくる・・・そういう「事情」があるんですねと分かっちゃう。

 

あれだけ父ちゃんが感情的に「否定」するのには、それなりの「言えない理由」がある・・・ そう読んだ達磨は、ちょっと方向を変えて「もっと八丸を信頼してやたらどうだ?」と尋ねるのです。 でも、父ちゃんとしては「八丸を信頼してないから外に出せない」わけじゃない・・もっと違う「出せない事情」ってもんがある訳ですよね。言えないけど。 「そうじゃない!」とばかりにさらにイラっと感情的になる父ちゃんは、思わずこう言っちゃうのです。

 

「・・・お前に何が分かる!」
「あの子はなーーー・・・」

 

・・と何か言いかけちゃった。 感情的にさせて「言いかけさせちゃう」事こそ達磨の狙いだったのでは・・とも思うのですが、残念ながら絶妙なタイミングで八丸がただいまーと帰ってきちゃったもんだから、結局は「答はお預け」になっちゃった。・・まぁそうなるか; うーーん、「あの子はなんだ」と言おうとしたのかなぁ・・ 

 

時間切れになったおかげで、危なかったけど この駆け引き「父ちゃん」に軍配が上がったように見えたんです。父ちゃんも「話は終わりだ」とちょっと嬉しそうに言ってる・・・

 

・・しかし、達磨は「負けた」わけじゃあなかった。

 

達磨は、父ちゃんにいろいろ情報を与えることで「揺さぶり」を十分かけて、思惑通り父ちゃんは《強烈な否定3連発》をしなくちゃいけないほど、動揺した。 

あの「否定3連発」は、達磨に対して発した否定ではなく、本当は父ちゃんが「自分自身の内なる声」にフタをすべく、叫んだ言葉のような気がするんですよね。

 

本心は裏腹・・・父ちゃんの心には、《八丸を外に出してやれ!! 信頼できる誰かに話を聞いてもらえ!お前は分かってるんだろ、八丸は達磨に預けるべきだ!》という「もう1つの声」がある。 だけど「ダメだ」と否定する声で、それを抑え込んでいる・・・ 

それが達磨の話を聞いたことで、父ちゃんの心に在った《八丸を出してやれ》という声がどんどん大きくなって、父ちゃんは感情的に《ダメだ!!》と叫んだような気がする・・・

 

一応は、その声を《ダメだ!!》で抑え込んだものの・・・父ちゃんは内なる声を自覚し、それと向き合うことになっていくのです。「父ちゃんに、自分の本心に気付かせる」ということ・・・それこそ達磨の「真の目的」だったんではないだろうか。

 

実際、このあと父ちゃんは八丸と会話(ケンカ)して、一人部屋にこもり・・「自分自身」の心と向き合っていきます。 八丸の「外に出たい」という願いを何とかしてかなえてやりたい・・・そのために必死に頑張ってきた自分自身の道のり・・・

時間差でじわじわと効いてくる、達磨の放った言葉の効果・・・《見えないところに斬りこみを入れ、時間差で「効果」を生む》・・・・達磨の話術は、まさに「金剛夜叉流黙斬り」そのものだったと思います。

 

そして「裏腹」といえば、八丸もそうだった・・

 

父ちゃんと言いあって、「はぁ~~~ん分かったぞ 移動型の生命維持装置を何年も完成させなかった理由・・最初からそんなの造る気なかったんだろ!?」 

「オレの気持ちなんて少しも分かんねーか!?」なんて憎まれ口をたたいてるんですよね。でも本当は、父ちゃんの気持ちもよーく分かってる。 それにかつての八丸も、こんな「裏腹」な言葉を言っていた・・

 

(父ちゃんの「飛行機?に乗ってみたいか?」という質問に)

 

「こんなの全然乗りたかないね!」

「こんなダッセーのに乗りたくないんだ・・!」

「ガキと一緒にされたくねーんだよ!」

「お金をくれてもお断りだね!」・・・八丸の「否定4連発」。

 

心は裏腹で、「こんなのに乗りたい!」「こんなカッコいいのに乗りたい!」「この子がうらやましい」「どんな代償を払ってでも飛びたい」ってのが本音ですよね。 

カラ元気出す八丸の「寂しさに堪える背中」の絵が、なんとも寂しい。

 

そして切ない絵と言えば、部屋にこもって回想し「つかまえてやる・・」という不気味な顔を思い出し、ビクッとして「・・・・」「どうしたらいい・・」と戸惑う父ちゃんの絵。この絵がこれまたなんとも寂しいし、父ちゃんの揺れる思いが伝わって切ないんです。 

斜め上から撮った絵は、父ちゃんの「孤独」を浮き上がらせ、戸に寄りかかっている姿に「父ちゃんが抱える不安の重さ」を感じてしまう・・ 
 背を扉に付けて立っているのは、「見えないものへの恐怖」のせいなのか、それに「戸惑い悩んでるのがバレバレな背中」を見せたくないという心理もあるのかもしれない・・・

 

でも、父ちゃんが「パタン」と閉めて入った自室には・・「八丸を外に出してやりたい」と頑張ってきた父ちゃんの今までが詰まってる。 あの部屋は、父ちゃんの「心の情景」とでもいいましょうか。 《設計図を作り、試行錯誤を繰りかえし、作業に没頭してきた日々》・・・八丸の願いを叶えてやりたいという親心。 それは、父ちゃん自身の強い願望でもあったんですね。

 

「回想」しながら、父ちゃん自身も気づき始めているハズです。 達磨の挑発に「否定3連発」をしてしまったのは、かつての八丸が「否定4連発」をしたのと同じなんだと・・・ 父ちゃんは (時間差で)気付き始めていた。

もしかしたら、達磨は「自分が出発するまで」に技が効くように設定してたんじゃないだろうか・・?

 

そして・・最後にもう1つ。達磨は、八丸にも「お得意の話術」でもって「決心」を促しています。 といっても、父ちゃん相手とは違って、その手法はかなり単純で、えげつなくもある・・; 優柔不断な八丸に、達磨はどうやって「決心」させたのか・・・?

 

八丸ってかなり優柔不断で、「ハァ・・また言い過ぎちゃったかなぁ・・」「いや・・たぶんぜったい・・」「でも・・」「だからかなぁ・・」「・・かなぁ・・?」「でも・・」とか、「ぜったい」も言ってるけど全然絶対じゃなくって、凄い揺れっぷりなんです。ナナシほどじゃないにしても、心の中で右手クンと左手さんが「ケンカ」してますよね。そこで、見かねた達磨が巧みに「決断」させるよう誘導してます。どれだけえげつないかというと・・・

 

・まずは、八丸に「好きな数字を言ってみろ」と言って、鮮やかに「金剛夜叉流黙斬り」を披露する。

 

時間差で斬るという「謎で仕組みがまったく分からない」手法を目の前で披露することで、カッコいい・・というのもあれば、八丸の「知りたい願望」を思いっきり刺激しているんですねぇ。で、不思議な技に「どうやって?」と八丸は興味津々です。 「知りたい願望」を利用して子供たちを引き込む手法は、大蛇丸も使ってましたっけ・・;ここでまず、つかみはOK。

 

・そこで、今度は畳みかけるように決め台詞3連発。

 

「もう一度言う」

「侍とは何事も自分で決められる者だ」

「拙者はここからもうじき去る」

 

ほぼ「脅し?」ですねコレ。 もう一度言う・・つまり「これで最後だ」。 

そして「侍は自分で決めていいんだ」と言った後、とどめが「拙者はここからもうじき去る」という時間制限、タイムリミット設定。 いやもう「時間制限」までされちゃうと、どうしたって「決めなくちゃ」って焦りますよね; 

週末お昼にテレビを観ていたら、通販CMで「今から30分間増員してお電話受付」とか言ってて、購入意欲が落ちないうちに決断を迫るような事を言ってた・・・それと似た巧妙な手法ですな。こうやって、八丸を「追い込む」。

 

・さらに決め手の「線引き」

 

「その地面の刀傷よりこちら側に来れば」「だが・・そこにいるままなら」と具体的に可視的な「線」を引いて、「こちら側とそっち側」に分けちゃった。

もうコレの効果は絶大だったと思います。 目の前に線を引かれて「拙者はこっち」「お前はあっちね」なんて分けられちゃったら、どうしたって「そっち」に行きたくなるってもんです。 いくら優柔不断な八丸でも「一線を越える」決心がつく。

 

巧いな達磨・・・やや強引ではありますが、そりゃあ50年も探し回ってやっと見つけた大切な鍵だし、これは八丸自身も望んでいることだし、一応ちゃんと「自分で決断」させてる訳だし、結果オーライなんだけど、

 

 ちょっとズルいな大人って・・と思ってしまったのでした(笑)

 

・・・達磨、おそるべし。

 

 

 

 ☆長駄文、読んでくださって感謝。

 

☆ ほんと、「目に見えないもの」ってすごいのかも。

 

☆八丸も、父ちゃんも、どちらも「人には言えない、分かってもらえない」悩みを一人で抱えてきた・・・そしてそれも「お互いを想うがため」に言えないこと。

 

☆でも、出る前にちゃんと父ちゃんの了解は取ってほしい。そういう場面があると、信じております・・じゃないとなぁ。

 

 

☆達磨の魔噛み、狛犬のホルダー、父ちゃんが持ってた魔噛み狛犬の鍵・・・ いまひとつホルダーやら鍵やら侍魂やら、ロッカーボールのシステムが分かりづらい。

 

 
(サムライ8八丸伝感想・雑考ブログ! 2019/06/04)
 

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