今週のジャンプ・サムライ8 八丸伝 第33話「相棒 」と コミックス第3巻「コツガとリュウ」の感想を少々(その3)
さて、33話にしてようやく一件落着した、コツガとリュウの「相棒」エピソード。 始まったのは、コミックス第3巻にも入っている第17話 「コツガとリュウ」だから、けっこう長かったですねぇ~・・。
ちなみに第3巻のタイトルも「コツガとリュウ」。 だけど・・結局、どちらも本名じゃなかったんですね。
しかも「骨河と竜」じゃなくて「コツガとリュウ」とカタカナ表記ってことは、いかにも“仮名”っぽかったとも言えるでしょうか。 そして、ふたりが「本当の名前(本当の自分)」を取り戻して この話も一件落着(竜の本名はこれからだけど、三打が「見つけてやる」って言ってくれましたからね)。
そもそもサムライ8では、第2話から「ナナシ」が登場して、いきなり「名前」がクローズアップされて・・・このあたり《いかにも岸本説法らしい》んだけど(「完璧である必要はない」とかもね)、それにしても この侍世界には大勢の名無しの子ども達がいる事が第22話(コミックス3巻)で判明(ナナシもその一人だった)。
親がいないってだけで、全員一括りに「ナナシ」になっちゃうなんてね・・まるで「この世界に存在しない」ような扱いで、なんだか やるせない気持ちになりました; この世界の闇も深い。 かつては名門のお坊ちゃまだった三打も、親を失ったとたん「ただの孤児=名無しの一人」同然になってしまった・・それで、弁に「骨河」という名前を付けられ、自分を見失ってしまったんですね。
(最近のニュースでも、ある事件の被害者の方々が「甲乙、AB」と呼ばれていて、ご家族の方が「子供にはちゃんと名前があるのに」とおっしゃっていた・・ 難しい事情や配慮もあるにせよ、ご家族の気持ちも分かるなぁと・・; 名前って、存在の確かな証だし、「愛されている」ことの証でもあると思うから)。
こんなに広い宇宙の中では、「名前」は自分を見失わない為の大切な目印のようなもんだとも思うんです。 それに、何があっても《自分は唯一無二の存在》と思える為の、大切な心のよりどころでもあるんじゃないのかな・・?
八丸と出会った人達・・「ナナシ」は「立派な元服名をもらうこと」を目標に決めたし、三打達は「リュウの本当の名前を探す」事を決めた。
なんだか「鍵探しの旅」というより「名前探しの旅」になりそうな感じがする・・
しかし・・ですよ? 「弁形」という立派な名前を持っているのに、弁は何故こうなった・・・ これじゃあベンケイの名前が泣いてしまうよ・・!
そして「三打」ですが。
三打の話、長かったですねぇ・・それだけ「重要キャラ」ってことでしょうか(スネ夫だしね)。 素直にパコリと頭を下げて八丸に感謝したり、「命がけで八丸を助ける」と宣言したり・・すごくいい子。 八丸と向き合ったその表情はスッキリとして可愛らしく、最初の頃のようなギラギラ感が抜けたような(弁色が抜けたのかな?) ・・
それに弁をスパッと斬った腕前もたいしたものだし、「侍魂の刀」を相変わらずちゃんと使いこなせてるし、なかなかの実力者なのでは。
これから侍になるのか、或いは 侍にならずにこのままを選ぶのか・・ 一応、彼も「弁の協力者」として裁かれるんだろうけど、さて・・どうなる??
その一方で「ジャイアンキャラ候補」と思われた弁形は、このまま監獄行きで退場なのかなぁ・・・だとしたら残念としか言いようがない(「ごついけど礼儀正しい」というジャイアンなのかと思ってたから)。
ま、「所持してるだけで禁固300年」とかいう角弾頭を発射しようとしたり、散々悪さをしてきたんだから 当然「心なんて無さそうな」AI陪審員なら 禁固数百年を言い渡しちゃいそうですね。
だけど、真っ黒そうに見える弁の心にも、1%ぐらいの「白さ」はあると思うんです。
そう思ったのは、このセリフとこの時の表情・・・
「フッ・・お前はいい奴だからなァ」
この時「だけ」、弁の口調がちょっと違う(ような)。
それ以外は、三打のことを「人を信じちゃうところが欠点」とか言ったり、三打の《女に甘く大それた犯罪も出来ねェ小心者で騙されやすい》ところにダメ出しをして まわりから顰蹙を買っていましたし・・ 義常を裏切った理由についてもアレコレ言い訳をして「都合のいい解釈」をしては まわりを苛立たせていましたけど、これらの発言は あえて人の気持ちを逆なでして《大悪党アピール》しているように見えちゃうんです。
本当はしょぼい鍵しか持ってないのに、他人の立派な鍵で飾って見栄張っていたように・・虚勢を張るといいますか。 だけど、この「フッ・・お前はいい奴だからなァ」だけは「本音」だったような。。
「だからお前はダメだ」と口で言いつつも、本当はしみじみ《お前はいい奴だ》と思っていたんだろうなと・・ そして《女に甘かったり大それた犯罪も出来ないようじゃ小心者だ》と、弁自身が自分に言い聞かせてきたんじゃないかとも思うんです。
この世界じゃ「いい人」が損をして、侍が「本来あるべき姿」からかけ離れて行ってる・・ その現実に嫌気がさして、「いい人になるのをやめた」んじゃないだろうか・・? そして「お金」しか信じない、今の弁になっていったんじゃないのかな。どうなんだろう・・?
弁は、命をかけて三打を守ろうとした「三打の母」についても「侍のようだった」と言っていた・・・ 弁は「命懸けで大切なモノを守る事こそ、本来の侍の姿」と思ってたって事ですよね。 本当は、弁も「何がいいのか、何が大切なのか」分かってたハズなんです。 きっと「何かがあって」侍の現状に失望し、諦めてしまったんだろうなぁ・・・ いったい、何があって弁はこうなっちゃったんだろう。
そして・・最後に、三打が果たした《仇討ち》についてなのですが。
《三打がどういう仇討ち方法をとるのか》、その結果は八丸に大きな影響を与えるんじゃないかと気になってたんですが・・
三打が選んだ「仇討ち」は、「弁を散体させる(死に追いやる)」事ではなく、《逆に弁形を騙しちゃう事》でした。
三打は「オレはアンタを信用してたのに」、「アンタは・・父の信頼できる弟子だった」と言っていたように、一番悔しかったのは「両親が死に追いやられた事」以上に「その信頼を裏切られたこと」だったと思うんです。 だから「信頼していた者に裏切られた気持ちって、どんななのか」・・それを弁に思い知らせてやったんじゃないだろうか。
もちろん「弁の首を取ること」も、カタチとして仇を討った事になると思うけど、そもそも侍にとって首を取られるのは致命傷じゃないし、三打にとって重要だったのは《信頼を裏切ったことへの仇討ち》だったんだと思います。
(もっとも、三打に騙されたと言っても・・あの10億は本来、八丸が受け取るお金でしたもんね。 強制的に弁に「約束をちゃんと守らせた」というべきなのかな)
さらに《お前に本当の相棒は いねェ》・・・この言葉の刃こそ、弁の心に一番鋭く突き刺さったと思うんですよね。
いくらモノやお金を集めても、信頼や心を通わせた仲間は得られない。
ホントは寂しがり屋じゃないかと思う弁さん・・どうか、反省して心を入れ替えて欲しい。 そして「信じてもらってた」過去を、有難かったと思って欲しい・・ それを教えてくれた三打にも感謝して欲しい。
そして、この仇討ち・・いかにも「優しくて思いやりのある三打らしい」仇討ちだったと思うんです。 弁のやった事は許さなくても、弁という人間を心の底から恨んでるわけでも無いような・・三打ってやっぱりいい奴なんだなぁ。 復讐的な、憎しみや怒りをぶつける仇討ちじゃなくて、本当に良かったと思います(というかホッとした)。
ラストは、ステルスフィールドが解除されて見下星がにっこりウィンクした絵になって・・《悪い計画はいずれバレるって事さ》《これにて一件落着だな》と、実にスッキリまとまった感があるのですが・・
一方で この世界の闇に張られたステルスフィールドも解除されて、ボロボロ暗闇も見えてきたような・・・ この問題に、八丸たちはちゃんと目を向けていけるんだろか・・? それとも、面倒なことは全部AIに任せてしまうんだろうか;
そして・・いよいよサムライ8も ジャンプの大トリを務めるようになってしまいましたな・・;
各種プレッシャーや制限はあるかと思いますが、先生方には そんな中でも「自分らしさ」を失わず、中途半端になるのだけはやめて頂いて・・どうか最後まで妥協せず作品を描ききっていただきたいと願うばかりです。
☆だらだら長駄文、読んでくださって・・感謝。
☆「命をかけて助けてやる」と言った三打・・三打こそ、弁が考える「本当の侍」像に近いんじゃないのかなぁ。
☆最近、八丸が目立ってない・・あまりにも目立ってない・・・次回からはもう少し主人公を目立たせてやってくださいな。
☆三打が「アンを守る可能性もある」ってのは、今回の弁逮捕劇に協力したってことだったのかな・・ それとも?
参加しております・・
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