サムライ8八丸伝第26話 「侍らしく 」 感想
骨河、あんな辛い過去があったんですねぇ・・;「時には自分から忘れてしまいたい事もある」と言っていたのは、コレの事だったのだろうか。 骨河に感じた「自信の無さ」の根源もここに在ったのかな。
まだ26話ではあるんだけれど、既にけっこう闇を感じちゃいますなぁ〜・・このサムライの世界にも。
侍になれる人はほんの一握りの「選ばれし者」だけだし、侍になれたとしても 安心していられない。 今週の骨河の言葉は「侍になれなかった者の遠吠え」的でもあるけれど、なかなか鋭い「侍システムへの皮肉」だったような気もします。
たとえば「武神にビクついてるサイボーグ共」とか
「頭下げて詫びればいいのか?侍らしく」とか。
前にも、こんなセリフが出てきましたよね・・
父ちゃんの「今の八丸がアタに一撃でもやられたら 間違いなく武神に見放される」と、守護侍ムジン様の「武神よ・・我をみはなさないで・・くれ」。
失望されたら、侍は即終了。 侍の運命は「武神次第」なのかと複雑な気持ちになったし、立派な侍が武神に命乞い姿をする姿は なんだか憐れでもあった。。
「ガッカリ」されたらどうしようとビクビク怯えていたり、 数値化された価値観の中で生きている「サイボーグ共」の生き様は、生身人間よりも 窮屈そう。
(もっともコツガだって「お金を全ての基準」にしてるんだから、やっぱり同じように数値化された価値観に生きている訳で、これはこの世界全てに言える事なのかもしれないけれど)
それと、「頭下げて詫びる」ってのも「侍のイメージ」なんですね。 たしかに アタはやたらと頭下げて詫びてましたね。 そこは「侍らしい」と感心もしたんですが、所詮それは「カタチだけ」・・
そういや八丸も何度も「ごめん!」と頭を下げていたけれど、八丸の場合は本気で反省して、ちゃんと直していく。 だから「ぶってる」だけじゃあない。 謝罪にしても感謝にしても、心からの言葉なんですよね。そこはアタとは全然違う。
達磨は《お前の目はアタとは違う》と言ってたけれど、その「目」とは「心を写す鏡としての目」なのだろうと思っています。 アタはカタチだけ「侍らしい」けれど、八丸は心もしっかり「侍らしい」。
「頭下げて詫びる」事が侍らしいのではなく、相手の心を見て感じて行動するのが「侍らしい」であるべきだと思うんだけど・・ 実際、今の「侍世界」ではどうなっているんだろう。 もしかして「礼」やら“義”も形骸化しちゃってるんじゃないだろうか・・・?
そして、八丸の心(目)がアタと違うのは《信じてもらってる自分を信じてる》からでもあるのかな・・と思います。 八丸は「自分を信じる=自信」がある。
ナナシの話以降、ず~っと《自分は何者なのか》という話が続いておりますが・・
この前 、アンのお兄さんの話の時に【自分を見失わないためには「自分を認めてくれる他者とのつながり」が要るんじゃないか】と書いたのですが、それに もう一つ加えたいのが「自信」。 数値で判定されちゃうこの世界で 「自分の存在価値」を見失わない為には、周囲からの数値判定に頼らない「自信」が必要だと思うんです。自惚れ的な自信じゃなくって、「自分を信じる」という意味での自信が。
コツガは、小さい頃《侍になれる可能性2%未満》と判定されて、それだけで「失敗」の烙印を押されてしまった。 それに、この前は弁形がAIに《可能性1%》と判定されてましたよね。 数値判定に支配された世界って・・・ちょっと嫌だなぁ。 数字の評価だけがすべてじゃないと思うし、それに「1%からの逆転」があってもいいと思う。きっと、あると思う。そして、あって欲しい。
八丸だって、ニセモノの鍵としては「失敗作」判定だったのに、なぜか「本物の鍵」になれたわけで・・(どういう経緯でそうなったのかは気になる)
骨河だって可能性ゼロではないし、「侍」には向いていなかったとしても、他の可能性は沢山あるハズ。 だから、他の誰かやAIが下した評価だけで 自分の価値を決める必要もないと思う。
八丸が最後に言ってた「侍ぶって見えようが 師匠がどう思おうが 失望されたかどうかはオレが決める事にするよ」。
これ ちょっと自惚れっぽくも聞こえるけど、この世界で「自分を見失わない為」には大切な事なのかも・・「武神にビクついてるサイボーグ共」にならない為にも。
そして・・今週の絵で印象に残ったのが 回想の「幼い骨河が目に涙をためている絵」から「今現在の骨河の目」に移る場面 。 ちっちゃい時のコツガ、可愛いらしかったんですねぇ・・ (しかもお名門のお坊っちゃま・・スネ夫だから??)
失望されて絶望した涙が悲しいし、その直後の今の骨河の 睨みつけるような厳しい目。 この目に《今の骨河の想い》が表れているような気がするんです。 目は、心を写す鏡ですから・・
アレは八丸を睨んでる目だけれど、実際には「消したい過去」に向けられた睨みなんだと思います。 コツガが言ってた「誰にも言いたくない 忘れたい、否定したい、消してしまいたい過去」・・
八丸も ちょっと前までは「過去を消したい」と思ってたんですよね。 だけど、今では その過去の「良いところ」を見ようとしている。 父ちゃんとの日々は「楽しかった」し、ゲーム漬けの毎日は「先読みに役立っている」。物事には悪い面だけじゃなくいい面も必ずある(はず)。 骨河の過去だって、チラッと見た限りでは どうやら「全部が悪いわけじゃなさそう」ですよね。
父親らしき人物の言葉は「失敗」とか「恥」とかネガティブワードばっかりだけれど、母親らしき人物は「あの子がどれほど苦労して・・」と言っていた。 コツガ、努力家だったんですね。そして、それをちゃんと認めてくれてる人がいた。
それに・・今でも 竜が何度も「お前はいい奴だ」と言ってくれている。
(でも、竜は「コツガの裏切り」をどう思ってるんだろう・・?)
コツガが「どうだかなってそう言ったろ いい計画は秘密って事さ」とウィンクした直後、竜は「!」と反応してますよね。 コレは突然「人型ホルダーが地面から湧いてきた」から驚いたんでしょうが、骨河のウィンクへの反応も兼ねての「!」だったのでは・・・と思ったりします。
ここに来る前にも、竜はウィンクの「意味」を骨河に聞いたり 、ぎこちな~く真似してましたよね。 で、《いい計画は秘密って事さ 相棒》と言われても 意味が分かってない感じで、しばらく片目を瞑ったまま「・・・」と何かを考えていた。
でも、今度は「何か」を感じたんじゃないだろうか。 やっと何かを思い出したのか、何かに気付いたのか・・
このあと骨河が「信用が形になったものが金だ」とか言い出した時、竜は骨河を見ながら「・・・・」と考えているんですよね。 竜はコツガの言動に何か「違和感」を感じているのか・・ あるいは《いい計画は内緒》の意味に「何か思い当たることがある」のだろうか・・?
(そういえばアタもずっと片目瞑った状態ですね)
コツガに「アンタ薄々気付いてたろ? オレを監視してる感じだった」と言われた達磨は、コツガの「目」をどう感じているんだろうか・・? 達磨はなぜ「骨河がアンを守る可能性もある」なんて言ったのか・・・そこもまだ気になっています。 それに、バトルロイヤル開始前に コツガ本人が「男を見る目があるなら いずれハッキリしますよ」なんてわざわざ言っていた事も・・ 気になる。
《自分は何者なのか》そして・・《自分の存在意義、価値、居場所をどうやって見つけていくのか》。 八丸はやっぱり《侍らしく》、そして・・テーマはやっぱり《岸本先生らしく》。 「外見だけじゃ分からない」のが この世界だけに、竜がコツガの目に「何を思ったのか」がカギになっていきそうな気がします。
☆駄文、読んでくださって感謝。
☆千隊長(この前八丸と勝負した侍)とその部下達の目的も気になります(隊長もそろそろここに戻ってくるだろうし)。 彼らと八丸達、弁形らの「関わり方」はどうなるんだろうか。 彼らは、味方なのか、それとも敵なんだろうか。
☆「目」といえば・・弁形も「意外にかわいい目をしてる♪」。
彼は「無駄な争いは嫌い」と言ってましたが、それは鍵のテロメア値を下げたくないからだろうけれど、「本当に無駄な争いは嫌い」なのかもしれない・・(目は心を写す鏡ですから)。
☆骨河、侍一族のお坊ちゃまだったんですね。 「遮那家」って・・遮那といえば、義経の稚児名が「遮那王」。 だとしたら、「ジャイアンとスネ夫」というより「弁慶と牛若丸」なのかな・・?(弁形のホルダーも牛若丸だけど)
☆そもそも、何%以上が「見込みアリ」になるんでしょうね。 明日の降水確率30%とか言われると迷っちゃうし;
☆岸本先生の一言コメントにある《舞台NARUTO-ナルト-~暁の調べ~ぜひぜひ》。
演劇通友人がチケット取ってくれたので来週、観に参ります!
(サムライ8八丸伝感想・考察ブログ! 第26話「侍らしく 」感想 2019/11/11)